当院の大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)に関して2025年5月現在の現状をご説明します。
Googleの口コミの返事でも記載しましたが、皆様により理解していただきたく、当院の実情をお伝えします。
当院では大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)を毎日施行しています。一日2~3件で今は月に45件程度検査を行っております。
【難易度に関して】
大腸は患者さんによって長さや形、癒着、他臓器の影響、腹腔内でのポジション、体形(肥満、やせ、高身長、低身長)が様々であるため、患者さんごとに挿入難易度が異なります。一般的には便秘の方は腸が長いと言われる事があり、また、内視鏡の教科書的には“肥満の方“や“やせ型”の方は難易度が高いと言われています。ただ、難易度は挿入が難しいとイコールであり痛みの原因とは違います。
【痛みに関して】
そんな様々な個人個人で全く違う形である大腸の検査を、なるべく疼痛が少なく平均化する様に無送気軸保持短縮法での挿入を試みていますが、屈曲部や癒着部、腸管が押し伸ばされる時に痛みを生じる事があります。
私および看護師の印象としては検査中に疼痛を訴えられる方は多くはありません。あくまで印象ですが、適切に鎮静剤を使用した検査を行えば、検査中に痛みを訴える方は2か月に1人いるかな位の頻度だと感じています。検査の最中ずーっと痛い訳ではありません。それでは検査が成り立ちません。痛みは多くは一過性です。
もちろん痛みに関しては適切に鎮静剤を使用する事で緩和されますが、全員の方に鎮静剤が必須ではありません。
また、痛みの感じ方は個人差がある印象もあります。
当院では鎮静剤の使用率は約69%です。鎮静剤が無くても本来は十分に検査が可能ですが、やはり鎮静剤は不安を取り除く作用も大きいため、検査に対する不安で本来必要な検査ができないのは損ですので、必要であれば使える様に準備しています(精神科薬など内服中の方は薬の効果が強く出過ぎるなど副作用があるためクリニックでは使いづらく、病院での検査施行をお勧めする事があります)。
一方、大腸カメラ後、多くの方に以前に施行した胃カメラの方が辛かったと言われます。
【大腸カメラの全体の流れに関して】
大腸カメラは「挿入」と「観察・治療」に分かれます。
当院での挿入の平均は約12分程度ですが、患者さんごとに違いがあります。4分程度で挿入できた方もいらっしゃいますが、30分以上かかった方がここ2か月約90件の検査件数の中で3名いらっしゃいました。
残念ながら私ではありませんが、世の中には挿入平均数分程度と超エキスパートの先生もいらっしゃいます。
一方、観察時間は特に病変が無い場合には10-20分程度ですが、ポリープを切除すると更に時間が加わります(もちろんポリープ切除手術をする訳ですので)。中には10個位ポリープがある方もいらっしゃり、一個一個切除を行いますので、場合によっては1時間程度時間が追加となる事があります。
従いまして大腸カメラが体内に入っている時間は20分~1時間以上と腸管の条件や観察・治療によりさまざまとなります。
【深部到達率に関して】
開業後の深部到達率(小腸・盲腸部までの到達率)は約99.5%です。直近4か月は100%です。
一番奥まで到達できないと検査として不十分になってしまいますので、途中で深部挿入をあきらめるのではなく、私も患者さんに体位変換など協力して頂きながら一生懸命頑張って深部挿入を試みています。これも時間がかかる要因の一つかもしれません。簡単に深部挿入を諦めると、検査時間は短くなります。
ただ挿入には先に記載した様に大腸の形に個人差があるため限界があり、深部到達率は100%は通常は残念ながらどの施設でも困難と思われます。
【腺腫発見率に関して】
腺腫発見率(ADR:adenoma detection rate)は開業後48%程度です。
大腸がんは腺腫と言われるポリープが大きくなり、さらに遺伝子変化を来すと発症すると言われており、大腸カメラはこの腺腫を発見・切除する事が主な目的の一つです。学会的にはADRは25%以上は必要と言われている様で、高ければ高い程、検査での腺腫の見逃しが少ないと言われる様です。
ただ、当院は初回大腸カメラの方が多く、以前ポリープを切除され、経過観察目的に検査を受ける方が多い施設に比べるとADRは高くなる傾向にあると思われます。ポリープを取った後の経過観察の際はもうポリープは残っていない事が多いです。
今後もなるべく高めのADRを維持するべく、検査時間はかかりますが観察を丁寧に行っていきたいと思います。
【まとめ】
以上当院での現状をお伝え致しました。是非参考になさって下さい。
あらためてお伝えしますが、全ての方に検査の際に痛みが生じ、検査に1時間以上かかる訳ではありません。
皆様、検査を受ける前は不安でいっぱいだと思います。多くの方に心配したよりは楽だったと言われておりますので安心して受診・ご予約をしていただけましたら幸いです。
スタッフ一同、皆様のお役に立てる様に引き続き努力して参ります。